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中小企業省力化投資補助金(省力化投資補助金)「一般型」とは?

  • 執筆者の写真: Hirotaka Nanjo
    Hirotaka Nanjo
  • 4月24日
  • 読了時間: 8分



カタログ注文型との違いを解説

「使いたいけれど活用しきれない」—そんな声が聞かれる中小企業省力化投資補助金(省力化投資補助金)。令和6年度補正予算に伴い、制度の運用が改善され、個別発注形式の「一般型」が新たに登場しました。


さらに、補助上限額も従来の1500万円から最大1億円へと大幅に引き上げられ、より柔軟で大規模な設備投資が可能になります。本記事では、「一般型」の概要や「カタログ注文型」との違いについて解説します。


中小企業省力化投資補助金とは

省力化投資補助金は、中小企業の人手不足を解消し、生産性向上と売上拡大を図ることを目的としています。企業の付加価値向上や賃上げの実現を目指し、IoT・ロボットなどの省力化技術を活用した汎用製品の導入費用を補助します。


補助対象となる製品は、事前に登録・掲載されたリストから選択可能で、企業はスムーズに導入を進めることができます。この仕組みにより、簡単かつ即効性のある省力化投資が実現しやすい点が特徴です(これを「カタログ注文型」といいます)。出典:中小企業省力化投資補助金 カタログ注文型ご案内チラシ


このカタログ注文型にはいくつかの課題もあります。例えば、カタログに登録されている製品数が限られているため、業種や事業内容によっては、最適な設備を選択できないケースがあります。また、個別の業務プロセスに合わせたカスタマイズが必要な設備導入には対応しにくい という制約もあります。


この状況を踏まえ、省力化投資支援の運用改善策として、企業の現場環境や事業内容に応じた設備導入を可能にする「一般型」が新たに追加されました。


中小企業省力化投資補助金 一般型とは

ここからは一般型について、みていきます。出典:中小企業省力化投資補助金 一般型ご案内チラシ

従来の「カタログ注文型」とは異なり、「一般型」は業務プロセスの自動化・高度化やロボット生産プロセスの改善、デジタルトランスフォーメーション(DX)等、中小企業等の個別の現場の設備や事業内容等に合わせた設備導入、システム構築等の多様な省力化投資を促進する事業です。


活用イメージ

【通信販売事業の物流・出荷業務の自動化】

通信販売事業において、オンラインショッピングの顧客増加と購買量の拡大に対応するため、省力化投資補助金を活用し、自動梱包機および倉庫管理システムをオーダーメイドで開発・導入


【自動車関連部品製造の検査自動化】

自動車関連部品製造事業において、微細な部品の検査を効率化するため、省力化投資補助金を活用し、最新のデジタルカメラやAI技術を搭載した自動外観検査装置を現場にあわせた形で導入


基本要件

① 労働生産性の年平均成長率が+4.0%以上増加

② 1人あたり給与支給総額の年平均成長率が事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上又は給与支給総額の年平均成長率が+2.0%以上増加

③ 事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準

④ 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等(従業員21名以上の場合のみ)の基本要件を全て満たす3~5 年の事業計画 に取り組むこと。

※最低賃金引上げ特例が適用される事業者は、③の要件は適用されません。

本補助金を活用する場合、3~5年の事業計画を策定し、毎年、効果報告を提出する必要があります。

設定した基本要件を達成できなかった場合、補助金の返還義務が発生するため、計画達成に向けた継続的な取り組みが重要になります。


返還要件

補助金を受けた事業者は、設定された基本要件を達成できなかった場合、補助金の返還が求められます。

・基本要件②を達成できなかった場合、未達成率に応じて補助金の一部を返還

・基本要件③を達成できなかった場合、「補助金額 ÷ 計画年数」に相当する金額を返還する


ただし、以下のいずれかの条件を満たす場合、補助金の返還が免除されます。

(1) 付加価値額が増加していないこと

(2) 企業全体の営業利益が赤字であること

 基本要件②の場合:事業計画期間の過半数が営業赤字

 基本要件③の場合:当該事業年度が営業赤字

(3) 天災など、事業者の責任によらない不可抗力の理由がある場合


事業計画策定のポイント

本補助金を活用するには、事業計画の内容が重要な審査基準となるため、ポイントを確認しましょう。

  • 補助事業者の業務領域・導入環境において、当該事業計画により業務量が削減される割合を示す省力化効果が見込まれる事業計画を策定する

  • 事業計画上の投資回収期間を根拠資料とともに提出する

  • 3~5年の事業計画期間内に、補助事業において、設備投資前と比較して付加価値額が増加する事業計画を策定する

  • 人手不足の解消に向けて、オーダーメイド設備等の導入等を行う事業計画を策定する


なお、カタログに掲載されている製品については原則カタログ注文型で申請を行う必要がありますが、カタログに掲載されている製品をそのまま導入するのではなく、事業者の導入環境に応じて周辺機器や構成する機器の数、搭載する機能等が変わる場合や、省力化に資する汎用設備を複数組み合わせることでより高い省力化効果や付加価値を生み出す場合には、本事業の対象となります。


補助事業実施期間について

補助事業実施期間は交付決定日から18か月以内(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から20か月後の日まで)です。補助事業実施期間内に、発注・納入・検収・支払等の全ての事業の手続きを完了し、実績報告書を提出しなければなりません。


補助対象経費

・機械装置・システム構築費(必須)、

・技術導入費、

・専門家経費、

・運搬費、

・クラウドサービス利用費、

・外注費、

・知的財産権等関連経費


補助上限額・補助率

補助上限額

5人以下 750万円(1,000万円)

6~20人 1,500万円(2,000万円)

21~50人 3,000万円(4,000万円)

51~100人 5,000万円(6,500万円)

101人以上 8,000万円(1億円)

(特例措置)大幅賃上げ特例(補助上限額を250~2,000万円上乗せ(上記カッコ内の金額は特例適用後の上限額。最低賃金引上げ特例事業者、各申請枠の上限額に達していない場合は除く。))


①    給与支給総額の年平均成長率+6.0%以上増加

② 事業場内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+50円以上の水準


上記①、②のいずれか一方でも未達の場合、各申請枠の従業員規模区分別の補助上限額との差額について補助金を返還


補助率

中小企業 1/2、(小規模・再生 2/3)

※ 補助金額 1500 万円までは 1/2 もしくは 2/3。補助金額 1500 万円を超える部分は 1/3

(特例措置) 最低賃金引上げ特例(補助率を2/3に引上げ(小規模・再生事業者は除く。)) 指定する一定期間において、3か月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従 業員数の30%以上いること


 

スケジュールと申請の流れ

一般型のスケジュールは以下のとおりです。

公募開始日

申請受付開始日

公募締切日

採択発表日

令和7年4月15日

令和7年4月25日

令和7年5月30日(金)

令和7年8月中旬(予定)

※公募は年間3~4回程度を予定しており、スケジュールが確定した公募回から順次公表されています。今後の予定については、随時更新される情報をご確認ください。


申請の流れ

申請手続きは、以下のステップで行います。

1.   GビズIDプライムアカウントの取得

補助金申請は電子申請で行われるため、GビズIDプライムアカウントが必要です。未取得の場合は、GビズID公式サイトから取得してください。


2.   事業計画書の作成および機械装置・システム等の選定

応募時に必要な事業計画書を作成します。また、人手不足解消に効果があるデジタル技術等を活用した専用設備を選定します。


3.   応募申請

電子申請システムを通じて応募申請を行います。申請者自身が内容を理解し、確認の上で申請してください。採択結果が出るまでに約3か月程度かかります。


4.    相見積もりおよび事業者選定採択後、交付申請手続きの際には、発注先の選定にあたり、価格の妥当性を証明するために、原則として2者以上から同一条件で見積書を取得する必要があります。


5.交付申請電子申請システムを通じて交付申請を行います。申請者自身が内容を理解し、確認の上で申請してください。


中小企業省力化投資補助金 一般型とカタログ注文型、ものづくり補助金の違い

補助金は、目的や対象を理解し、自社に合った制度を選ぶことが重要です。そこで、省力化投資補助金 一般型とカタログ注文型の違い、そして設備投資に使える補助金として知られる「ものづくり補助金」との違いを簡単に確認しておきましょう。


・一般型は、売上拡大や生産性向上を目的とし、オーダーメイド設備や事業者の現場に適した汎用設備・システムの導入を支援します。柔軟な設備投資が可能で、個別のニーズに対応できる点が特徴です。


・カタログ注文型は、カタログに掲載された汎用製品の購入を支援する制度です。あらかじめ登録された製品から選択するため、手続きが簡単で導入しやすいのがメリットです。


・ものづくり補助金は、革新的な新製品やサービスの開発が対象となり、省力化を目的とした補助金とは異なります。単なる業務改善ではなく、市場にまだない新しい価値を生み出し、競争力を高める事業に適しています。


まとめ

今回は、省力化投資補助金の「一般型」について紹介しました。

従来の制度との主な違いは、補助対象の選択肢の幅広さにあります。「カタログ注文型」では、人手不足解消に効果がある汎用製品が事前にカタログに掲載されており、中小企業等がその中から選択して導入できる仕組みになっています。一方で、「一般型」は、企業ごとの設備環境や事業内容に応じた設備導入やシステム構築など、多様な省力化投資に対応できる点が特徴です。


 
 
 

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